このページでは、排ガス処理システムにおける脱臭装置について、特徴や脱臭メカニズムなどをまとめて解説しています。
脱臭装置とは、工場などから発生する悪臭を除去して、作業環境の改善や周辺環境の健全化を目指す装置の総称です。
脱臭装置では一般的に、悪臭の原因となるガスやミストを、活性炭などを封入した装置の内部で通過させ、その際に悪臭を活性炭へ吸着させることで臭いを除去するといった方法が採用されています。また、装置の構造や気体の経路などを工夫することで、活性炭と臭気が接触する時間を増やし、より効果的に悪臭を除去するシステムも研究されていることが重要です。
脱臭装置には据え置き型だけでなく、簡単に持ち運びできる移動式のものもあり、例えば一時的に臭気が発生するといった条件であれば、移動式脱臭装置を必要なタイミングで利用するといった方法も可能です。
その他、活性炭の他にも特殊な物質や装置を組み合わせることで、原因物質の除去効果を高める場合もあります。
排ガスの悪臭や臭気は周辺住民の生活環境を脅かすだけでなく、工場で作業する人員の心身にもストレスを与え、労働環境の悪化や生産性の低下を招きます。
悪臭に対処するためには、まず臭いの特徴や発生源について把握しなければなりません。また、仮に良い香りであっても強すぎれば悪臭となるため、場所や時間によって臭気の強さが変化しないか確かめることも必要です。
悪臭の原因になる材料の使用を削減・停止したり、臭気が発生しやすいシステムを改善したりといった方法が考えられます。また、空調設備や吸排気設備の変更もポイントです。
なお、建物の隙間などからの臭気漏れにも注意してください。
材料の削減やシステム変更が困難な場合、現状に脱臭装置を導入することで、発生した悪臭を除去するといったことも可能です。
各メーカーで取り扱っている脱臭装置を紹介します。
キャンドル型の活性炭部を有しており、ガスがガス円筒内を通過する際に渦巻き状となり、活性炭との接触面積が増やされることで悪臭を効率的に除去します。さらに吸着熱も抑えており、オプションで移動式タイプを選択することも可能です。
バーナーなどによって臭気排ガスを熱し、熱による酸化反応を利用して脱臭処理を行う燃焼式排ガス処理装置シリーズの1つです。シリーズ製品の加熱方法として、直熱・触媒・蓄熱のp3タイプがあり、触媒式は電気ヒータ(50kW)によって350度の温度制御を行います。
ミウラ化学装置では、クライアントのニーズや作業環境に合わせて様々な脱臭装置をプランニングしています。活性炭吸着塔や乾式脱硫装置、消化ガス処理システムといったプランが用意されており、悪臭の原因や強度、規模によって使い分けが可能です。
近藤工業株式会社は工業用脱臭装置など環境機器に関して設計や製作、販売などを手がける環境機器専門メーカーです。クライアントの求めるニーズや設置目的に応じた環境機器や脱臭装置をオーダーメイドでプランニングしてもらえる上、導入後のサポートやアフターメンテナンスまでワンストップサービスとして提供しています。
様々な業界や工場などにおいて発生するVOC排ガスに対応しており、高効率の熱回収率で省エネ性能においても品質を追求した排ガス処理装置や脱臭装置などが展開されています。
クレハ環境では脱臭や排ガス処理、溶剤回収といった目的に対応する環境機器として、独自のVOC排ガス処理設備「GASTAK」を提供しています。排ガスの中に含有されている有機溶剤を回収してリサイクルへ回す他、排ガス中の悪臭物質や有害成分といった対象物質を低エネルギーで除去できる機構が追求されました。
球状活性炭を活用したGASTAKは、カーボンニュートラルとゼロエミッションを目標とした排ガス処理装置・脱臭装置として、様々な業界や工場などに導入されていることが特徴です。
ハイポテックでは近隣住民対策や悪臭防止法にもとづいた環境整備、また作業員の労働環境を改善させられるシステムとして、AC脱臭装置「Style-SE/MTS」を提供しています。
円筒形を採用されたキャンドル型の活性炭部を備えたSE-MTS型脱臭装置では、ガス円筒内をガスが通過する際に活性炭が悪臭を除去して、高効率かつ長寿の脱臭装置として機能することが特徴です。また、コンパクト構造に加えて、オプション対応で移動型も選択できるため、導入場面の幅が広くなっています。
サンレー冷熱では設置場所や悪臭の濃度、悪臭の発生する状況といった各種条件に合わせて、様々な脱臭装置・排ガス処理装置を提供していることが特徴です。
中濃度~高濃度の処理に関しては燃焼方式による脱臭装置(直接燃焼式脱臭装置)を提案し、低濃度~高濃度の処理に関しては触媒方式(触媒燃焼式脱臭装置)を展開しています。また、特に10ppm以下の低濃度処理においてはパルスプラズマ脱臭装置といったプラズマ方式が提案されていることもポイントです。
エア・ガシズ・テクノスでは様々な脱臭装置ニーズへ対応できるように、活用場面や導入条件に応じた乾燥脱臭装置と排ガス処理装置を提案しています。
触媒を活用した全熱風式乾燥脱臭装置「CDX-Nシリーズ」や、直接燃焼式の全熱風式乾燥脱臭装置「DDX-Nシリーズ」など、国内臭気濃度規制をクリアするために必要な脱臭機能を高効率かつ低コストで運用できるように追求された製品が特徴です。
また、操作性や省エネ性能などをシステムアップさせるオーダーも可能です。
島川製作所ではコンパクト設計のパッケージ型脱臭装置から、大規模工場などで必要となる大風量の脱臭装置まで、条件やニーズに合わせた複数の脱臭装置・環境機器が展開されています。
コンパクトタイプに関してはランニングコストを重視した触媒式脱臭装置が特に強化されており、独自の処理フローを採用するなどオリジナルのノウハウを強みとしていることがポイントです。また、クライアントのニーズや予算に合わせたカスタマイズにも対応していることは見逃せません。
日東化工機では種々の悪臭や有害ガスに対応できるように、幅広い環境へ活用できる活性炭吸着塔を採用した脱臭装置を展開しています。
脱臭装置の中に備えられた活性炭が悪臭を吸着・除去するだけでなく、悪臭や有害ガスが発生する環境や場所、濃度、処理風量といった条件に合わせて除去効率を最大化し、同時にランニングコストを低減できるようなプランを考えてくれることが強みです。
導入例として、下水道施設や清掃施設、化学薬品プラントといったものが挙げられています。
クラボウでは排ガス処理装置の中でも特に脱臭機能を目的とした製品として、「KRANDOR湿式脱臭装置」が展開されています。
クラボウのKRANDOR湿式脱臭装置では、吸収塔の中に酸化剤と固形触媒が組み込まれており、酸化反応を応用した脱臭機能を採用されていることが特徴です。また、対処すべき悪臭の種類や条件に応じて適切な吸収剤や充填剤を選択することで、脱臭効果やコストパフォーマンスを追求されていることも見逃せません。
なお、湿式の他に乾式脱臭装置も対応可能です。
アイエンスでは循環水浄化機能を備えた脱臭・集塵装置として、湿式スクラバーによる「デオライザー」を展開しています。
40mm前後の厚さに達する水の膜が様々な臭気物質や微細な粉塵をキャッチすることで、脱臭・集塵機能を強化されており、従来型の湿式スクラバーと比較してランニングコストの低減を目指しやすくなっていることも特徴です。また、散気装置「アクアブラスター」が搭載されており、水が腐敗していくリスクを予防しして、スラッジの発生を抑えられるよう設計されています。
セイコー化工機は環境機器や化学機械装置の専門メーカーとして、様々な排ガスや煤塵、悪臭の処理に対応できる装置を設計・製作・販売しています。セイコー化工機の脱臭装置は工場や下水処理施設など悪臭の発生しやすい場所へ導入されており、低濃度の臭気ガスに対応可能な活性炭吸着塔「AC形シリーズ」や、気液接触効率を高められてランニングコストの低減に役立つ生物脱臭塔「BB形シリーズ」など、条件やニーズに合わせて適切な脱臭装置を提案してもらえることが強みです。
その他、設置場所の見晴らしなど外観条件に合わせた「Flat形シリーズ」などもあります。
大東化工機株式会社では種々の悪臭や排ガス、有害物質の除去・処理を目的として、独自の「NOx洗浄塔・排ガス洗浄装置」を提供しています。
クライアントの予算や設置スペース、ガスの濃度といった各種条件に合わせて脱臭装置の設計や製作が行われ、据付工事やアフターメンテナンスまでワンストップサービスとして提供されていることも重要です。また、出荷前の各種試験運転によって機器トラブルのリスクや設置後のエラーといった問題の発生率を抑えている取り組みもポイントです。
ミウラ化学装置では排ガス処理装置や脱臭装置といった環境機器メーカーとして40年以上の実績を有しており、ゴミ処理場や下水処理場、工場向けの脱臭装置として「乾式脱臭装置」などを提供しています。
乾式脱硫装置や活性炭吸着塔、触媒酸化脱臭装置、ヌレ網スクラバーなど脱臭条件や臭気ガスのタイプに合わせて様々なシステムが脱臭装置に導入されており、脱臭装置を導入する前の環境検査やクライアントからのヒアリング内容にもとづいて、適切な脱臭装置の設計プランを提案します。
駒沢工業では環境や作業現場に配慮するだけでなく、作業現場で働く人にも優しい環境機器をコンセプトとして脱臭装置や排ガス処理装置が開発・設計されていることが特徴です。
造粒炭や破砕炭などの粒状活性炭とPP繊維フィルターを採用された活性炭吸着脱臭装置では、硫化水素や硫化メチル、メルカプタンといった腐食性酸性ガスや、アンモニアなどの塩基性ガス、悪臭を発生させる臭気ガスなどに対応しています。また、特定の悪臭などに対して添着炭が採用されることもあります。
悪臭問題は法的にも環境的にも重要なリスクであり、放置すれば企業や工場のイメージを損なう原因となります。
悪臭の原因を速やかに突き止めた上で、適切なフロー改善や脱臭装置導入といった工夫で臭気問題を解決してください。