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ばいじん・ダストとは

工場内の燃焼に伴って発生するばいじん、粉じんなども含めた個体微粒子であるダスト。これらを大気汚染防止法に準じて適切に排ガス処理するために、ばい煙発生施設という規制対象やばいじん対策装置について説明します。

ばいじん・ダストの特徴

ばいじんは物体の燃焼に伴って発生する微細な物質を意味し、漢字表記にすると「煤塵」になります。「煤」は一文字で「スス」と読むように、粒子は非常に細かいもの。大気汚染防止法の規制対象には「ばい煙」という単語も出てきますが、ばいじんは「ばい煙」の一種。他にも硫黄酸化物、窒素酸化物やカドミウムといった有害物質などを総称して「ばい煙」としています。
なお、大気汚染防止法の定義では「ばい煙」の横並びで「粉じん」という分類があります。こちらはセメント粉や石灰粉、鉄粉など一般粉じんと特定有害物質の石綿がグルーピングされています。
一方、ダストという用語は大気汚染防止法になく、「ばい煙」も「粉じん」も含めた固体微粒子で、大気や排ガスに含まれるホコリやチリなどの総称です。

排ガス処理は、除害すべき物質や対応方法によって、適した装置が変わってきます。そんな時に会社や排ガス処理装置をどう選べばいいのか、具体例と共に解説します。

排ガス処理装置の選び方を知る

ばいじん・ダストの発生源

大気汚染防止法では32種類のばい煙発生施設を規制対象としています。その中でもどの施設が多いのか、環境省の「令和2年度 大気汚染防止法施行状況調査(令和元年度実績)」という資料に「種類別のばい煙発生施設数及び割合」という調査データがあるので引用してみましょう。

施設名 施設数 割合(%)
ボイラー 131,979 60.8
ディーゼル機関 40,973 18.9
ガスタービン 10,833 5
金属鍛造・圧延加熱・熱処理炉 7,397 3.4
乾燥炉 6,567 3
廃棄物焼却炉 4,545 2.1
金属溶解炉 3,736 1.7
窯業焼成炉・溶融炉 3,288 1.5
その他 7,852 3.6
ボイラー 施設数:131,979
割合:60.8
ディーゼル機関 施設数:40,973
割合:18.9
ガスタービン 施設数:10,833
割合:18.9
金属鍛造・圧延加熱・熱処理炉 施設数:7,397
割合:3.4
乾燥炉 施設数:6,567
割合:3
廃棄物焼却炉 施設数:4,545
割合:2.1
金属溶解炉 施設数:3,736
割合:1.7
窯業焼成炉・溶融炉 施設数:6,567
割合:1.5
その他 施設数:7,852
割合:3.6

比率を見れば一目瞭然。ばい煙発生施設の中でもボイラーは60%を超える割合で群を抜いて多いことがわかります。ばい煙発生施設は自治体への届出も必要で、新規施設の設置時だけでなく、既存施設でも法改正によって規制対象となった場合や、ばい煙の処理方法を変えた場合などの届出も必要なので注意しましょう。

ばいじん・ダストへの対策が可能な装置

工場におけるばいじん対策の装置として、代表的なものを3種類紹介します。

なお、排ガスから除去したばいじんの処理ですが、焼却埋め立てするだけでなく、リサイクル可能な専門企業もあります。