排ガスの処理を行うのであれば、それぞれのガスの特徴を踏まえた適切な処理が求められます。ここではNOx(窒素酸化物)について、特徴や人体への影響、対策等についてまとめていますので、NOx(窒素酸化物)の処理を考えている方は是非ご覧ください。
NOxとは物体が高温で燃えた時に生じるものです。
空気中にある窒素と酸素が結び付いて生じる一酸化窒素、二酸化窒素を指すもので、工場や火力発電所といった事業所だけではなく、自動車や家庭などからも発生しますので、比較的身近な物質ですが、多く排出されているのが自動車で、全体の半分以上のNOxが自動車から排出されています。
人体への影響だけではなく、光化学スモッグ、酸性雨の原因にもなるなど影響力は大きいことから、環境基準を設けたり、自動車排出ガス規制が行われるなどして、NOxの排出を抑制しています。
NOxの中でもボイラーや焼却炉、ディーゼル機関、そして高い割合を占めている自動車から生まれるものは燃焼系NOxと呼ばれています。
燃焼系のNOxは日常生活の中で比較的身近なものですが、だからこそ機制や対策も積極的です。また、燃焼系NOxは後述する化学反応系NOxと比較すると濃度が低い点も特徴です。
先に紹介した燃焼系NOxと比較すると、発生源が分かりにくく、かつ対策が難しいとされているのがこちらです。主に金属溶解や金属・シリコン表面処理、化学反応プロセス、硝酸廃棄役処理プロセスにて生じるとされており、日本国内では二酸化窒素に換算すると、年間でおよそ21万トン排出されています。
NOx濃度、NO濃度共に濃い点が特徴ですが、燃焼系NOxと比較すると規制が遅れていることから、対策が不十分だったり、まだまだ化学反応系NOxに対しての危機感が薄いとの指摘もあります。
NOxが環境基準を設けられるなどの規制の対象となっているのは、人体への悪影響が理由です。
呼吸によって人体に取り込まれたNOxは喉、気管、肺に悪影響を与え、呼吸器疾患の原因と成ることもあります。
また、直接的ではありませんが、光化学スモッグや酸性雨の原因にもなりますので、NOxが光化学スモッグをもたらすことで目がチカチカしたり息苦しくなったり、さらには吐き気を催すこともあれば、酸性雨によって目や喉、鼻、皮膚などを刺激することもあります。
また、我々が飲む水道水に入り込むことで人体に影響を与えるなど、直接・間接それぞれの形で人体に影響を及ぼします。
NOxは人体に様々な影響を及ぼすものであることがわかっていただけたのではないでしょうか。
そこで、NOxの対策が求められるのですが、考えられる対策としては排出量の低減と除去装置の設置です。
それぞれについて、詳しく見てみるとしましょう。
NOxが増えることで人体に悪影響を及ぼすことが分かっていますので、NOxの排出量を低減することで悪影響を緩和します。理屈としてはシンプルではありますが、NOxはどうしても生じてしまうものです。
そのため、排出量低減のための新しい設備の導入等が肝となります。また、事業者だけに任せるのではなく、行政として排出ガス規制等を行うことで、半ば強制的に排出量の低減を促進しています。
NOxの除去装置を設置することで、NOxを排出しないようにとする動きも見えています。
例えば排ガスの中からNOxを除去する方法もありますし、低NOx化をもたらすものもあります。これらは除去装置が開発されたからこそ可能になった方法です。
除去装置に関してはNOxだけではなく、PFCガス等も含め、様々な対策を可能にしていますので注目度も高まっています。
低減、さらには除去装置。これらを上手く組み合わせることでNOx対策を実践しています。