廃棄物処理施設における適切な排ガス処理を把握しておきましょう。ここでは、廃棄物処理施設における排ガスの特徴や処理方法、注意点について解説します。
廃棄物処理施設における排ガスには、水銀が含まれることがあります。
上記3点から、水銀排出対策の課題があります。
廃棄物処理施設における排ガスには、ダイオキシンが多く含まれています。ダイオキシンは環境問題として社会問題となり、平成9年12月に廃棄物処理法が改正される原因となりました。さらに平成11年7月にダイオキシン類対策特別措置法が制定され、ダイオキシン類の排出基準や測定・報告などが定められています。そして平成14年12月からはダイオキシン類の暫定基準が廃止。一酸化炭素濃度の排出基準が加わりました。
廃棄物処理施設では、排ガス中のダイオキシン濃度やCO濃度を削減しなくてはいけません。ただし焼却施設の能力や種類、処理は器物の種類に関係なく、排ガス中のダイオキシン濃度やCO濃度には相関がないことが分かっています。ダイオキシン類濃度基準値を満たしている施設でもCO濃度基準値を満たしていないケースがあるほか、その逆のケースもあることが明らかになっています。
活性炭吹込みによる期待除去率は70~90%とされています。ろ過式集塵機入り口に活性炭を噴霧する方法です。DXNs対策として広く普及した技術で、除去率などのデータも公開されています。
液体キレートによる期待除去率は60~90%程度。湿式洗煙塔に液体キレートを注入する方法です。一般的に排ガス中の水銀は10~40%が金属水銀、60~90%が塩化第二水銀とされており、この方法は水溶性の塩化第二水銀に対し有効。キレートを注入することで除去効率の向上が期待できます。
活性炭吸着塔による期待除去率は90%以上と高め。ばいじんや酸性ガス除去後に活性炭吸着塔を設置します。活性コークスを使用することでより安価に設置することも可能です。水銀対策よりもDXNs対策用として開発された処理方法となっています。DXNsと比べて水銀の方が早く除去率が低下する報告も上がっています。
廃棄物処理の焼却で重要な「空気比」に着眼した処理方法です。ストーカ炉内の壁に数個孔を設け、高温空気と再循環した排ガスを吹き込むというもの。上部に高温空気でふたがされ、コンパクトかつ安定的にごみを焼却できます。この新技術を取り入れることにより、低い空気比でエネルギー効率を高めつつ、有害ガスの発生を抑えられるようになります。
排ガス中の一酸化炭素濃度を低減するためには、十分な酸素存在下で燃焼温度を高めるもしくは燃焼時間を長くとらなくてはいけません。燃焼温度を上げた試験結果によると、化石燃料を大量に使用することにより一酸化炭素濃度を下げることに成功しています。しかし、一酸化炭素濃度を下げるためだけに化石燃料を大量に使用するのは避けた方が良いでしょう。