半導体を製造する工程や現場では、アンモニア含有ガスなどの排ガスが発生するため、適切な排ガス装置の設置や導入が重要です。このページでは、半導体製造現場で活用される排ガス装置について解説しています。
半導体製造の過程においては、例えば規制対象物質であるアンモニアを含有したガスや排水が発生します。一方、法律によってアンモニア含有ガスや排水については排出基準となるアンモニア濃度が設定されており、適切な排ガス装置を導入してアンモニア含有濃度を基準範囲内に収めなければなりません。
例えばアンモニアの場合、アンモニアは水に溶けやすい物質であるため、まず装置内でアンモニアガスにスチームを吹き付けて、空気中のアンモニアを装置内に分散させます。その上でアンモニアと蒸気ガスの混合気体を移動させながら温度を管理することで、アンモニアと水を分離させ排水基準へ適合させます。さらに余剰のアンモニアを吸収塔へ送り込み、改めて水に溶かして濃度を高めたアンモニア水を製造・再利用するという仕組みです。
アンモニアとスチームを活用しながら、アンモニアを装置内で移動・濃縮させ、低濃度の排水と高濃度のアンモニア水として分離することにより、半導体製造において発生するアンモニアを効率的に処理することが可能です。
その他、可燃性ガスについてはバーナーなどの燃焼で処理することもあります。
半導体製造で発生する排ガスは、各工程や作業内容によって異なり、各段階に応じて排ガス装置を設置しなければなりません。
半導体の製造プロセスは多段階で構成されており、それぞれの作業の目的によって様々なガスが使用されています。
一般的な半導体製造で使用するガスの例としては以下のようなものがあります。
各メーカーで取り扱っている半導体製造施設向けの排ガス処理設備を紹介します。
アンモニアが水に溶けやすいという性質を利用して、アンモニア含有排水からアンモニアを分離し、排水濃度を規制基準に収めます。また、回収した高濃度のアンモニア水は改めて別の目的で再利用されることも特徴です。
半導体製造時に発生する様々な可燃性ガスの混合気体を、燃焼処理によってまとめて処理する排ガス装置です。エッチングガスやクリーニングガス、プロセスガスなど様々なガスをトータルで処理します。
装置内に備えられたバーナーによって、様々な可燃性ガスをまとめて処理する排ガス装置です。さらに空冷燃焼式や水冷燃焼式、小型燃焼式といった複数のタイプに分かれています。
日本パイオニクスでは、半導体製造装置が発生させる水素化合物やフッ素化合物といった排ガスに関して、燃焼バーナーの熱排ガスを活用した燃焼式外ガス処理装置「MODEL-WGT」を提供しています。また、熱分解によって排ガスを処理した後に発生する酸性ガスや二酸化ケイ素粉といった生成物についても、同パッケージに含まれているウェットスクラバーが後処理を行うため安心です。
各種センサーやタッチパネルなど、操作性や安全性を高める工夫もポイントです。
エドワーズ株式会社では世界各国の半導体工場や半導体メーカーにオリジナルの除害装置や環境機器を提供しています。排ガス処理装置としての除去性能・除害性能の追求は当然として、プロセスの時間や歩留まり、環境負荷の軽減といった多角的な面でメリットを追求していることも特徴です。加えて、高機能な排ガス処理装置を安定的に運用できるよう、ランニングコストを低減させたりメンテナンスまでの期間を長期化したりと、クライアントの利益を重視したプランを考えています。
ハイポテックでは半導体工場や液晶工場、化学工場などアンモニア含有排水や排ガスを発生させる様々な施設に対して、ニーズに応じた環境機器や排ガス処理装置を提供しています。
ハイポテックが設計・製作する環境機器や排ガス処理装置は、全自動制御による無人運転を採用するなど、作業の効率化を追求するだけでなく従業員の負担軽減や安全性向上といったメリットが追求されていることも特徴です。また、排ガスや排水のリサイクルについても考慮されています。
クリーン・テクノロジーではプラズマ式排ガス処理装置や触媒式排ガス処理装置、乾式排ガス処理装置、湿式排ガス処理装置など複数のシステム方式を採用した排ガス処理装置がシリーズ展開されています。
それぞれの排ガス処理装置には得意とする対症物質や、導入メリット、特性などが挙げられており、半導体工場や半導体メーカーが必要とするニーズや環境条件に合わせて適切な製品をプランニングしてもらえることは強みです。また24時間・365日の連続稼働にも対応しています。
サンレー冷熱が提供している「アンモニア燃焼除害装置」は、半導体製造装置や半導体工場のようにアンモニア含有排水を排出する環境へ適した環境機器です。サンレー冷熱がこれまでに蓄積してきた燃焼ノウハウを活用して、低NOx燃焼による燃焼除害システムが確立されており、アンモニア含有排水や窒素含有溶剤などの除害・処理に対応しています。
また、装置は受注生産によって製作されるため、クライアントの導入ニーズを反映させたカスタマイズを行えることも重要です。
ニチアスではこれまでにつちかってきたハニカム形状フィルターのノウハウを活用して、低濃度かつ大風量のVOC含有排ガスを効果的に除害できる処理装置を開発しています。また、ハニカム形状フィルターを従来の排ガス処理装置と組み合わせることで、一層に除害効率を高めた製品を導入することも可能です。
液晶工場や電池工場、塗装工場など様々な業界や業種に導入されており、導入実績のおよそ20%は半導体関連業界へ導入されていることも特徴です。
小池酸素工業のガス関連機器「GUARDIANR-G型」は、半導体工場や液晶パネル工場といった現場で使用される、様々な可燃性ガスや排ガスをターゲットとした燃焼式排ガス処理装置です。アメリカで最初に開発されてから20年以上の導入実績を有しており、日本国内の半導体産業においても燃焼式除害装置として活用されています。
半導体製造工程におけるプロセスガスの除害を主な用途としており、シンプルな設計に加えて、1~6ポートのマルチポート導入に対応していることも強みです。
半導体製造現場において発生するアンモニアガスを処理するため、株式会社キクチではアンモニア分解触媒を活用したアンモニアガス処理装置を提供しています。処理ガスに含まれるNOxを低減できるなど、処理後のメリットが追求されており、全体的なコストパフォーマンスの向上に貢献できることも魅力です。
なお、その他にもキクチでは半導体事業の関連製品として、各種ヒーターやドライヤー、専用ノズルといったアイテムが展開されています。
半導体の製造後に発生するアンモニア含有排水などだけでなく、半導体を製造する過程において使用される特殊材用ガスについても、安全性に配慮した排ガス処理装置を提供しています。
排ガス処理装置の方式としては、乾式除害や湿式除害、燃焼式除害といった複数のシステムが採用されており、処理すべきガスの風量や二次処理施設の有無などの条件に応じて必要な排ガス処理装置をプランニングしてもらうことが可能です。
大陽日酸の乾式除害装置「VEGA-JGS」では、半導体製造におけるプロセスガスとして使用される対象ガスの種類に応じて除害材を組み合わせて、より効率的な排ガス処理システムをプランニングしています。
また、M型では2つの除害筒を導入した切替方式が採用されており、連続稼働時間を長くすることで長期的な運転を実現していることも重要です。また、ドライプロセスを経ているため、排ガス処理後の排水処理といった二次処理施設を必要としない点も見逃せません。
半導体製造では各工程で様々なガスを使用するため、排ガスの種類も多岐にわたります。
そのため、対象となるガスの成分などをしっかりと把握した上で、各段階に適した排ガス装置を導入してください。