このページでは、多種多様な分野で活用されると同時に、人体や環境にとって重大な危険性を有するフッ化水素に関して、フッ化水素の特徴や排ガス処理設備でフッ化水素を処理する概要・メカニズムなどをまとめて解説しています。
フッ化水素とは水素とフッ素によって構成されている化合物であり、常温で気体もしくは液体となります。また、フッ化水素を水に溶かした溶液はフッ化水素酸やフッ酸などと呼ばれることも特徴です。
フッ化水素は多種多様な分野において活用されており、例えばハイオクガソリンの製造時に触媒として活用されたり、フライパンやガラスなどにフッ素加工を施すフッ素樹脂の製造にも利用されたりします。冷蔵庫やエアコンの冷媒として利用されるフロン類についても、フッ化水素が原料となっています。
また、上記の用途で使われるフッ化水素と比較して、さらに高純度のフッ化水素は半導体製造工場で不可欠な物質となっており、現代のIT業界や家電業界などを支える重要な存在です。
そのため、フッ化水素は現代の人間社会において極めて重要な物質といえるでしょう。
一方、医薬用外毒物としても指定されるフッ化水素は人体にとって極めて有毒性の高い物質であり、気体を吸引すると様々な症状を引き起こし、皮膚に飛沫が触れただけでも痛みや重度熱傷を引き起こしかねません。
フッ化水素は人体にとって非常に危険な物質であり、常温でも気体や液体に変じるからこそ、排ガス処理設備によって適切に除去・処理することが必要です。
また、フッ化水素は様々な分野や施設で使用されていることから、それぞれの施設や環境に合わせた排ガス処理設備や排ガス装置、排水処理設備を導入しなければなりません。
フッ化水素ガスを処理する排ガス処理設備や排ガス装置には、フッ化水素を含有する排ガスに洗浄液(水)を反応させ、フッ化水素水溶液として除害する水スクラバー式装置などがあります。
実際の排ガス装置導入においては、施設規模や排出されるフッ化水素の濃度、状態といった諸条件を考慮した上でプランニングすることが大切です。
各メーカーで取り扱っているフッ化水素の排ガス処理設備を紹介します。
フッ化水素などを含有する排ガスと、洗浄液を混合し、気液接触によって対象の有害物質や排ガスを除去するシステムです。耐食性を高めるために設備本体や付属品は全てPVCまたはFRP製となっており、導入施設や導入環境に合わせて設計段階からフルカスタマイズしてくれます。
ニーズに合わせてフルカスタマイズされるスクラバー式排ガス処理設備です。フッ化水素を含めて塩素やアンモニアなど様々な有害物質に対応しており、長期間の使用を前提として本体部分や部品の材質も、耐食性の高い樹脂や金属によって製造しています。また、排水ミストの除去にはベルギー製のミストセパレーターが採用されています。
半導体製造で利用される少量のフッ化水素だけでなく、液晶製造や太陽電池製造で発生する大流量のフッ化水素にも対応可能な湿式排ガス処理装置です。排ガスを燃焼式除害装置で二酸化ケイ素やフッ化水素に分解し、さらに洗浄液(中和用水酸化ナトリウム水溶液)を気液接触させて除害します。また、フッ素系排水についても併せて処理されます。
フッ化水素は様々な工業分野・産業施設において利用されている化学物質であり、現代の人類社会を維持する上で極めて重要な物質です。一方で人体にとって非常に有害であり、適切な除害装置を導入して処理しなければなりません。
フッ化水素の排ガス処理設備としては水スクラバー式設備などが挙げられますが、排気処理だけでなく、排水処理についても総合的に考えることが必要です。