微細なミストに含まれる物質によっては排ガス処理が必要となる工場からの白煙や紫煙について、その発生の仕組みやについて説明します。合わせて、処理についての注意点や対策なども紹介します。
白煙は、水蒸気が煙突から大気中に放出された時の、温度と湿度の条件により発生します。
清掃工場の中には白煙防止装置で白煙を再加熱して、目視しにくくしてから煙突へ排出していたものを、地球温暖化対策の一環として白煙防止装置の運転を停止することで排出させないというケースも見られます。
ただ、化学工場や機械製造系の工場における白煙には、水蒸気白煙と違い、化学物質から成るケミカル白煙のように、除去すべき成分が含まれるケースもあります。その場合は設備にダメージを与えるだけでなく、屋外の場合は環境にも悪影響を及ぼすので、当該設備に準じた処理を行える装置の導入が求められます。
排ガス処理は、除害すべき物質や対応方法によって、適した装置が変わってきます。そんな時に会社や排ガス処理装置をどう選べばいいのか、具体例と共に解説します。
工場からの排ガスで、白煙や紫煙の原因となるのは極微細なミストです。温度降下によって過飽和ガス成分が凝縮されていたり、複数の気体の化学反応によって蒸気分圧が低い場合もあるため、一般的なデミスターやスクラバーで除去することは容易ではありません。
そのため、スクラバーでの除去ではなく、白煙・紫煙に対して適正に除去が可能な白煙・紫煙除去装置の導入が必要です。です。
例えば、二酸化硫黄(SO2)と三酸化硫黄(SO2)が混じっている排ガスの場合、二酸化硫黄はスクラバーで分離除去しますが、三酸化硫黄は水との反応で硫酸ミスト(H2SO4)を含む白煙となるため、白煙除去装置も必要になります。このような工場では、スクラバーと白煙除去が一体となった装置を設置するとよいでしょう。
煙はその種類によって対応が異なります。化学物質が含まれているケミカル白煙やオイル白煙・紫白煙などは、ブラウン拡散作用と呼ばれる、ガス中にある粒子・水分をフィルターによって捕集する方法が推奨されます。
水蒸気白煙に関しては、空気を冷却し水分を凝縮させて除去した後、空気を再度加熱して減湿する「冷却減湿」と呼ばれる方法や、気体量を増加させることで、空気中の水分の量を薄める「希釈減湿」が推奨されています。
また、先ほど全体設計の重要性について触れましたが、設備の機能面だけでなく、費用対効果というメリットも見逃せません。
一例を挙げると、有機溶剤ガスに起因する臭気処理で活性炭を使って脱臭する場合、水蒸気やオイルミストが含まれると活性炭に吸着してしまって、ランニングコストの上昇になりかねません。このようなケースでは、脱臭装置の前に白煙除去装置を設置することで、中長期的な費用対効果アップが期待できます。事例を掲載するので参考にしてみてください。