このページでは、アンモニアを除害するための排ガス処理設備や、アンモニア除害の排ガス処理の方法などを解説していますので、自社で排ガス処理設備を導入する際の参考としてご活用ください。
刺激臭を持つ化学物質として知られているアンモニアですが、高濃度のアンモニアは不快臭としてだけでなく様々な悪影響を人体へ生じさせます。そのため、製造装置などから排気されるアンモニアは、作業環境の健全性や作業員の安全安心を保つ上で適切に除去・除害されることが必要です。
アンモニアの一般的な除害方法には水スクラバー式やガス分解式といったものがありますが、一方で高濃度のアンモニアガスを安全基準まで低減するには大がかりな装置が必要になることもあり、事前処理によって定期的に中和させるなどの作業も大切です。
また、大規模除害装置は導入コストが高額になる上、メンテナンス費用といったランニングコストの問題も無視できません。
アンモニアを除害する方法としては、アンモニアを含有した排ガスを酸化分解ヒーターや化学反応で除害するガス分解式や、洗浄液(水、硫酸)によって排ガス中のアンモニアを除害する水スクラバー式、高温下でアンモニアを燃焼させて分解する燃焼除害式など複数のものが挙げられます。
それぞれの除害方法や排ガス装置によって、対応可能なアンモニアガスの濃度に違いがあったり、導入コスト・ランニングコストが変動したりと条件が変わっていくため、まずは各排ガス処理設備の特徴やメカニズムを把握した上で比較検討することが大切です。
以下に代表的なアンモニアガスの除害方法を紹介します。
ガス分解式は、燃料電池の原理を活用した酸化分解反応によってアンモニアを除害する方法です。ガス分解式ではアンモニアや水素、その他の毒性ガスなどを含有している排ガスを、ガス分解素子やアンモニア分解素子といったものを活用して、電気的・化学的に分解・除害します。
比較的高濃度のアンモニアを除害できる上、消費電力が少なく、設備コストが比較的安価という点も特徴です。また二酸化炭素が発生せず、発電効果を得られることも見逃せません。
アンモニアが水や特定の薬液に溶けやすいという性質を利用し、アンモニアを含有している排ガスに洗浄液を噴霧して、排ガス中のアンモニアを除害する方法です。
洗浄液としては水や硫酸が用いられており、設備の導入コストが安価という点が特徴です。
ただし高濃度ガスの処理には不向きであり、設備のサイズが大規模になることは無視できません。また、処理後に発生する排水処理についても考える必要があります。
燃焼除害式は文字通り、アンモニアを含んだ排ガスをバーナーで燃やし、高温下で分解するシステムです。
高濃度のアンモニアガスも除害できる上、設備コストは比較的安価とされますが、消費電力や燃料コスト、設備サイズはガス分解式よりも大きくなりやすいでしょう。また、対象ガスを燃焼させた際に、二酸化炭素やNOxといった排出ガスが発生することもポイントです。
触媒とは、それ自体は化学的に分解されたり還元されたりしないものの、特定の化学反応を促進させる働きを持つ物質の総称です。
触媒分解式は、アンモニアの還元・分解を促進させる物質を活用して、常温環境でもアンモニアを除害できるシステムとなります。
燃焼によって分解させる方式でないため、二酸化炭素は発生しません。ただし、NOxは処理温度によって発生リスクがあるともされます。
触媒分解式は効率的にアンモニアを除害できますが、設備規模や導入コスト、ランニングコストなどが増大しやすいといった点はデメリットです。
各メーカーで取り扱っているアンモニア除害の排ガス処理設備を紹介します。
アンモニアを除害するスクラバー装置と、アンモニアが溶けたミストを除去する減湿装置が一体化したものです。
アンモニアを含有している排水からアンモニアを分離した上で、分離したアンモニアを回収して再利用するための全自動アンモニア処理設備です。
アンモニアを含んだ排ガスを燃焼して、アンモニアを分解します。燃焼ノウハウの活用によって低NOx燃焼を追求しており、完全燃焼・乾式処理で再処理が必要ありません。
アンモニアの除害方法には複数のものがありますが、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、自社の環境に合わせて選択することが大切です。
また、除害方法によっては二酸化炭素やNOxなどの排ガス、あるいはアンモニア水といった排水の処理についても考えなければなりません。