金属系の代表ならステンレス、樹脂系の代表なら塩化ビニル。これらを筆頭に、スクラバーなどの排ガス処理装置に関する耐久性を左右する耐食材料について、2つのカテゴリーに分けてそれらの特性を紹介していきます。
鉄鋼や鉄は金属の中では耐食性が低いとされる物質。水分などによって簡単に錆びてしまうのも、その特性によります。ただし、酸化性の酸や酸化性の塩溶液と触れた場合、不動態皮膜という薄い皮膜を作って耐食性を発揮します。
金属の中では比較的耐食性が高い物質の代表ともいえるのがステンレス。キッチンなど水回り設備に採用されるのも、耐食性の高さが一因。これは不動態皮膜のおかげですが、大気中に塩化物イオンが含まれると耐食性が損なわれます。
耐食性を高めるという目的で開発されたニッケル合金がハステロイ(HASTELLOY® ※1)。主成分はニッケルで、クロムやモリブデンなど複数の成分を添加したもので、耐食性だけでなく耐熱性が高いのも特徴。金属としては加工が困難な素材ともいわれています。
※1:ハステロイ(HASTELLOY®)は、Haynes International Inc. の商標です。
排ガス処理は、除害すべき物質や対応方法によって、適した装置が変わってきます。そんな時に会社や排ガス処理装置をどう選べばいいのか、具体例と共に解説します。
塩ビやビニールとも呼ばれるポピュラーな合成樹脂。耐食性という点では、金属と比べて錆びや腐食の心配がないのが大きなメリット。硬質塩ビパイプは50年以上の耐用年数とされていますが、土中に35年埋設しても劣化しないほどの耐食性を持ちます。
化学工場では薬品や酸・アルカリ配管、そして薬液廃水配管などにも使われているのがポリプロピレン。ホモポリマー、ブロック・コポリマー、ランダム・コポリマーの3種類に分類され、化学工場の配管ではホモポリマーが優位性を発揮しています。
FRP とはFiber Reinforced Plasticsの略称。プラスチックにガラス繊維などを混ぜることによって強度を高めつつも軽量性を損なわない素材として、開発初期は航空機用途で普及していきました。カーボン繊維など強化材の種類は複数あります。
フッ素樹脂の一種で、ポリビニリデンフルオライドともいいます。日本語表記はフッ化ビニリデン樹脂。耐食性が高いだけでなく、耐候性や耐薬品性にも優れる素材で、溶接成形ができる高強度の樹脂という点も強みといえます。
フッ素樹脂の一種で、複雑な形状でも溶融成形ができます。強アルカリや有機溶剤に対しても強い抵抗性を示し、多くの薬品に侵されることがありません。電気絶縁性や非粘着性、耐候性、耐薬品性にも優れており、化学薬品に接触する半導体分野に適しています。